2015年6月1日、北京市で「中国史上最も厳しい禁煙条例」が施行されたとのことです。理由は「呼吸器疾患で亡くなる人が多く、3億人の喫煙者を抱える中国では、喫煙の規制は喫緊の課題」ということです。
さて今回の条例ですが、以前からも「形式上」禁煙を謳う店舗なんかも若干ありましたが、結構明確に打ち出されているような感じです。
喫煙者が400万人もいると言われる北京では今回の条例施行により、公共の場所は全面禁煙だそうです。駅や空港などの公的施設だけでなく、レストランやホテル、病院なども含まれ、違反した企業に対しては最高で1万元(約20万円)、個人に対しては最高で200元(約4000円)の罰金が科せられるそうです。しかも市内には1000人以上の監視員を配置し、抜き打ち調査も実施されるとのこと。
メディアなどはこの条例に対して行政がタバコ権利を持ってることが原因として、「政府からやれば」なんていうコラムが出たりしているとも。過去10年間もこういった条例を出しているにもかかわらずタバコの生産量が増え、この10年で140%だそうです。
今回この条例に伴い、タバコの値上げも実施されましたが上の画像にある「中南海0.5」も10元から11元に値上がりしただけで、愛煙家からすれば大した値上げにもなっておらず、負担が大きいと思えばまだまだいくらでも安いタバコがあるのであまり意味が無いと。
タバコの大きな役目はどこの国でも似たようなもので、地方自治体にとってのGDP成長の重要な一要素となっているようです。よって万が一、一気に締め付けを厳しくするとタバコに関わる企業などが大きな打撃を受け、地方自治体に課せられたノルマ!?にも影響してくるという矛盾が発生すると言うわけです。
これは中国のすべての産業が同じ構造であり、模倣品を完全にシャットアウトすると中国の大半の工場が危機に陥り失業者続出、環境のために石炭全面禁止すれば工場操業停止やそれに関わる企業が倒産、なんて言うことがわかっているので政府側も何事もガッツリと厳しくできないというのが中国のジレンマでもあります。
上記のようにこの手の問題は全てに共通するので、わかっているけど「飴を残しながら鞭を振る」といった手法でしか対応できず、実際のところなかなか変わりきれないというのが本当のところだと思います。あまりにも大きい大陸ですから一都市部から始めても何十年、いや何百年かかるのかもしれません。